MENU

ゴーストピル(ゴーストタブレット)

「ゴーストピル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 

これは糞便中に排泄される「錠剤やカプセルの形状を残した物体」のことです。

 

これを「ゴーストピル」または「ゴーストタブレット」と呼びます。

 

ゴーストピルは徐放化製剤に多い

ゴーストピルは徐放化製剤を飲んだ時に見られることが多いです。例えばデパケンR(バルプロ酸ナトリウム)という薬がそうです。

 

デパケンR錠は水に不溶の物質で格子構造を形成した基剤(マトリックス基剤)に主薬をコーティングした「マトリックス型製剤」です。服用後、主薬を含む粒子がマトリックス基剤から徐々に放出され、長時間効果を発揮します。

 

通常、これらの基剤は消化管内で崩壊しますが、まれに錠剤などの形状を残したまま、糞便中に排出されることがあり、これがゴーストピルとして発見されます。

 

ゴーストピルが見られる薬剤はデパケンR以外にもあります。例えば、エチルセルロースなどの不溶性の被膜でコーティングした製剤や、インヴェガ(パリペリドン)やコンサータ(メチルフェニデート)などの特殊な除法化システムを採用している製剤でもゴーストピルが見られることがあります。

 

効果は問題ないのか?

残渣が錠剤の形状を残している場合、有効性に不安を感じるかもしれませんが、強い下痢でもない限り、糞便中に排出された残渣中に薬の有効成分は残っていないと考えられます。

 

例えば、ジソピラミド徐放錠「テバ」によるゴーストピルを回収し、10時間の溶出試験を行った場合、溶出率はわずか1.5%だったことが報告されています。

 

ゴーストピルが排出される原因は不明な点が多いですが、下痢などで腸管通過時間が短い場合や、水なしで服用した場合などにはゴーストピルが観察される可能性は高くなると考えられています。

 

報告されている薬

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書情報検索システムで調べた結果、全述の薬剤の他、次の薬剤の添付文書の「適用上の注意」や「その他の注意」の欄で残渣の糞便中排出について注意喚起がされています。

 

徐放化製剤

・テオドール、ユニコン、ユニフィルLAほか(テオフィリン)
・スローケー、ケーサプライ(塩化カリウム)
・ニフェジピンCR「NP」「サワイ」「日医工」ほか

 

その他製剤

・ペンタサ、アサコールほか(メサラジン)
・ディレグラ配合錠(フェキソフェナジン・プソイドエフェドリン)

 

ゴーストピルが排出される可能性のある薬剤については、多めの水で服用してください。