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社交不安障害

社交不安障害(SAD)とは、社会的な場面で過度の不安や恐怖を感じてしまう病気のことです。

 

社交不安障害は英語で「Social Anxiety Disorder」といい、頭文字をとって、「SAD」といわれることもあります。

 

また、昔は「社不安障害」という名称でしたが、2008年に日本精神神経学会において、より実態に近い表現の「社交不安障害」という名称に変更されました。

 

社会的な場面とは?

「社会的な場面」とは、いわゆる「人から注目される状況」のことです。

 

人から注目される状況は生きていれば誰にでもありますし、鼓動が早まったり赤面したりというのも、普通の人でもあります。

 

日常生活に支障はあるか

また、精神疾患と診断されるかで大事なのは「日常生活に支障があるかどうか」です。

 

同じような症状が出る人でも、日常生活に支障がなければ診断されません。

 

症状

社交不安障害ではさまざまな症状が身体に現れます。

 

周りが気付くもの
  • 声が出ない
  • 手足が震える
  • 赤面する
  • 汗が出る

 

本人にしか分からないもの
  • 強い不安感
  • 強い緊張感
  • 頭が真っ白になる
  • 動悸
  • 口が渇く
  • 吐き気がする
  • 胃のむかつき

 

等の症状です。ここに記載しているものが全てではなく、人によって多様です。

 

症状が出やすい状況

例えば以下のような状況です。

  • 見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話
  • 人前での発言・スピーチ
  • 社会的立場が上の人)との面談・会話
  • 会社で電話をとる
  • 人前で文字を書く
  • 会食やパーティに参加する

これだけでなく、家族の前なら大丈夫だけれども、他人はダメなど、さまざまな状況があります。

 

原因

私たちの脳には意欲、不安、喜びなど、様々な感情に関わる神経伝達物質が存在します。

 

社交不安障害では、何らかの理由でこの神経伝達物質のバランスが崩れてしまい、不安を感じやすくなってしまうと考えられています。

 

疫学

社交不安障害の生涯有病率(一生のうちに一度はかかる確率)は約3~10%と言われています。

 

思春期に発症することが多く、男子に多いことが分かっています。

 

これはまだ脳が未発達で神経伝達物質が乱れやすいなどの理由ではなく、社会的な場面が増えてくるのが思春期だからと考えられています。

 

また、日本では約300万人が経験すると推定されることもあり、そこまで珍しい病気ではありません。

 

治療

社交不安障害では、精神科において薬物療法および精神療法を併用またはどちらか単独で行われます。

 

薬物療法ではSSRIという薬が社交不安障害の治療にも大きな効果を発揮することがわかり、平成17年に保険適用が認められました。

 

精神療法では認知行動療法などが有効でSSRIと同等の効果があるといわれています。